極楽ぼっち

ひとりの時間はこうして楽しむ

現実から逃げることにした

 帰宅途中、LINEが来たので送信者を確認すると、Mさんからだった。開くのはここまで。未読スルーで通して、ひと月が経つ。内容はだいたい察しがつく。

 

 彼女とは以前勤めていた職場で知り合った。わたしを親に引き合わせたいのだと思う。そして今度はMさんがわたしの親となり、わたしも子を増やしていく。ネットワークビジネスの話である。

 

 目の病気に効くからと勧められるまま、サプリメントを扱う企業の会員になった。気乗りはしなかったが、好きな時に購入するだけでも構わないというので。すると、毎週のように誘われるようになった。茶話会、異業種交流会。

 

 わたしは、はっきりと断った。何だか縛りがきつそうで、そういう集まりは苦手。Mさんの返信は、わたしは仲間が欲しいけど、誰でもいいわけじゃないの。あなたは将来が不安じゃないの? 

 

 意外だった。キャリア、人脈、お金、健康な体。わたしが欲しいものをすべて持っている彼女が、まだ先の老後を案じているのだ。失うものが大きいぶん、持てる者のほうが、不安感が強いのかもしれない。

 

 わたしにも不安はある。でも、先のことを考えすぎて暗い気持ちになる、その時間が惜しい。わたしの場合、すでに健康は損なわれているし、お金もない。守るべきものがないと、妙にさっぱりした、さばさばした気持ちになれるのだ。

 

 なるようにしかならないから、と答えると、日本の食品の多くは汚染されている。薬も同じ。Mさんの言う通りなのかもしれないが、目を逸らすことにした。善意だとしても、恐怖を煽ってわたしをコントロールしようとする人とは離れようと思う。今日も未読スルーにしたけれど、年賀状はどうしよう。今からもやもやしている。