極楽ぼっち

ひとりの時間はこうして楽しむ

日本橋サイボー・ビジネスホテル好き

美食の街・東京人形町のお値打ちホテル

 9月、台風接近のニュースに苛立ちつつ、3年ぶりに東京へ。旅の目的は、東京都写真美術館と日本カメラ博物館の見学です。二日目は大雨確定なのだが、会期の終了が迫っているため出かけました。

 

 昼過ぎ、恵比寿ガーデンプレイスに到着。軽く食事を済ませて東京都写真美術館の入口に向かうと、すでに行列ができていた。15時入場。QRチケットを提示し、3階の展示から鑑賞したのだが、2階を先にすれば良かったと後悔した。2階の展示のテーマは、死である。「メメント・モリと写真 死は何を照らすのか」、ずっと気になっていた展示、見終わった後は心に暗い影が残った。正常な反応だ。死ぬのは怖い。進行性の眼病だと告知を受けてから、自分に残された時間を意識している。終活も始めた。わたしにぴったりのテーマではあるが、ちょっと重かった。カメラのレンズを通して見た死は冷静で、それでいて波のように繰り返し胸に寄せてくる。

 

 地下1階の展示を鑑賞した後、館内のカフェで休憩。屋久島の紅茶をストレートでいただいた。甘みがあって、冷たくておいしい。おいしいものを口にすると心が満たされるのは、今ここに生きている幸せを直接体に取り込むことができるからだろう。背の低い、おしゃれなグラスに入った紅茶を飲み干して、美術館を出た。

 

 恵比寿駅のアトレで惣菜を買い、宿泊先の人形町へ。地下鉄の駅から地上へ出ると、とっぷりと日が暮れていた。店々に灯りがともり、一杯やりたい気分になってくる。人形町には良さそうな店が多い。前回、「サイボー」に泊まった時、何の気なしに入った鴨料理を出すイタリアンは大当たりだった。甘酒横丁にある老舗のたい焼きの味も忘れられない。この次は絶対に外食にしよう。途中でコンビニエンスストアに寄り、ホテルに入った。ロビーで必要なアメニティグッズを取り、部屋へ。

 

<img src=”nihonbashi-tokyo.jpg” alt=”ホテルのシングルルーム”/>

日本橋サイボー・シングルルーム

 

ソファとスツール

 

 暖色系の壁紙が印象的なシングルルーム。エアコンをつけ、冷蔵庫の電源を入れた。細長い机のそばには小さなソファとスツールがあり、クッションも置かれている。このクッションがありがたい。フットピローとして使わせていただきます。足を高くしないと眠れないのでね。

 

広めのバスタブがうれしい

 

 手荷物を下ろしてバスルームのドアを開けると、白い大理石風の床材に、楕円形の広めのバスタブ。わたし好みの白を基調としたバスルーム。すぐにでも入りたくなり、熱いシャワーを浴びた。備え付けのパジャマに着替えると、全身の力が抜けてくる。パジャマは、ビジネスホテルによくあるタイプのワンピースタイプだ。

 

冷蔵庫の容量は大きめ

 

 惣菜をつまみに、冷蔵庫で冷やしておいたビールを飲んだ。ミュージアムショップで買った文庫本、寄藤文平著『死にカタログ』とチャールズ・ブコウスキーの『死をポケットに入れて』をめくる。軽妙でいて鋭く、腑に落ちる。これから先、何度もページをめくることになるであろう2冊である。美術館で見た写真は、いたずらに恐怖心をあおるようなものではなかったが、作品のいくつかは頭にこびりついた。眠れなくなるのではないかと不安だったが、読書をしたのが良かったのか、熟睡できた。

 

 翌朝10時にチェックアウトし、小雨の中、近くにある小網神社へ向かった。神社の立て看板を目印に進み、路地を入ると、道路脇に置かれたカラーコーンに沿って並ぶ人々が。わたしも列に加わり、前の人にならって傘をたたみ、拝礼した。こぢんまりとした境内には、強運厄除の龍の彫刻、銭洗い弁天様と見るべきところが多い。今度はできれば平日に訪ねて、時間をかけて参拝したい。

 

小網神社

 お詣りを終えたあたりで雨脚が強まり、人形町駅に着く頃にはどしゃ降りになった。地下鉄に乗り、半蔵門にある日本カメラ博物館へ。ユニークな形をしていたり、特殊な性能を持つカメラを集めた特別展を見学。博物館のあるビルから外に出ようとして、思わず尻込みした。すごい雨。一歩足を踏み出すと、強風にあおられた。傘の柄を握りしめ、駅へ戻る。この様子では、新幹線が運休になるかもしれない。予定を早めて帰途に就いた。

 

 あいにくの天気だったが、まあ満足している。旅行に行けるのは、当たり前のことではないから。東京が好きなのはもちろんだけど、結局は遠出が好きなんだな。体はへとへとでも、心はスカッとしている。この快楽のために働いています。不純な動機を許して欲しい。

 

www.hotel-saibo.co.jp